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がいどぶっく

フランス発

2015年9月14日 ブログ引っ越しました。

ブログ引っ越しました。

http://blog.livedoor.jp/cameliadragon/

今後ともよろしくお願い申し上げます。

椿龍
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  1. 2015/09/14(月) 19:15:29|
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2015年9月3日 得るものと失うもの



 長い間ブログを書く時間と余裕がありませんでしたが、ご覧になって下さっている方はよい夏休みをお過ごしになりまし
たでしょうか。わたしは仕事が立て込んだり、ストレスがあったりで、神経肉体ともにかなり疲れていましたが、逃げるように
夏休みをとって、元気すぎるほど元気になってパリに戻りました。やっぱり「枯れて」はいけないのです。穢れは「気枯れ」と
いうそうですし、本来の健やかな状態を保つことが、唯一の幸せの秘訣なのかもしれないと改めて思います。

 この美しい場所は、南仏のヴォークルーズ、「モンタニエット」にあるフリゴレ修道院(L'Abbeye de Saint-Michel de Frigolet
-サン・ミッシェル・ドゥ・フリゴレ修道院) です。縁があってこの土地にはもうすでに何度となく来ています。
教皇庁で有名なアヴィニヨン観光をしたついでに訪れる人が多いようです。ちなみに、この修道院の「名物」はゴーシェ神父と
いう人が作ったのがはじまりという、リキュールですが、我が家ではラベンダーなどのハーブで作ったオードトワレを一人一本、
大瓶で買って来るのが習慣となっています。素朴な香りですが、戸棚や引き出しの虫除けや香りづけ、室内の浄化などにも使
っています。勿論、お風呂あがりには身につけて楽しみます。

 ご存じの通り、修道院はお祈りだけでなく、自給自足で野菜を作ったり、リキュールや香水やお菓子、ハーブティー、鋳物など
を作って修行兼現金収入を得る手段にしていますから、「名物」を買うことでこの綺麗な場所を守ることになります。わたしは、
個人的な体験から、ただ現金で「寄付」をするというのにとても懐疑的なところがありますが、その代わり、良いものを適正な価格
で売るという立場で生活の糧を得ている人達や団体の商品やサービスを、極力利用するようにしています。神社や聖域など、
自分が大切にしている場所についても、出来る範囲でお金を使うようにしています。そうしていると、自然とお金を大切に遣う
癖がついて、一石二鳥です。

 そう言えば、お金を遣うとき、払うとき、みなさんは「失う」と感じますか。それともお金で何かを「得る」とかんじますか。
おそらく、みなさんも「払わなくてはいけないお金」は失うとか損したと感じたりするかもしれません。自分がずっと欲しかった、
したかったことのためにお金を払うときは、「やったぁ!」「嬉しい」と充実感を覚えるのではないでしょうか。

 発想の逆転ですが、払わなければいけないお金を払うとき、「自分はこれで脱皮できる」とか「自分はこれだけの力が
あるのだ」とか思えないものでしょうか。反対に、自分の欲望のためにお金を払うとき、「欲望を満たすのにこの金額を
払ってもいいものだろうか」「この金額を払って欲望を叶えなくてもいいのではないか」と無理に意識して考えてみる癖を
つけたらどうでしょう。結構人生、変わります。

 最近は大分下火になりましたが、スピリチュアルブーム、特に外国からきたものには、お金を得てリッチになることはとても
いいことだとか、お金は世の中を巡る「愛」の交換とかいう話を目にしたり耳にしたり大分しました。わたし自信、お金は大好き
ですし、お金がないと困ります。今の世の中生きていくことすら難しくなりますし、おそらく人格が荒んでくるでしょう(笑)。

 お金というのは、欲望を物質に変える力があります。(今のところはそういうことになっています)人間社会で必要を満たす
(欲望を満たす)のにこんないいものはないというかんじです。ただ、人間はお金で叶えられる欲望だけで生きている生き物
ではありません。それは、小さな子どもを見ていると判ります。子どもでも、三歳を過ぎる頃、主に親の影響でさもしいかんじ
の考え方、物質的な考え方をするようになる子もいるようです。「三つ子の魂百まで」というやつですが、親やまわりの大人
はそういう子どもが幼い時期に、お金で買えない体験やものごとの大切さをしみこませるように与えてあげて欲しいと思います。

お金はありすぎても、なさすぎても、その人を貧しくしてしまうという、おそろしい魔の力がありますから、その力に対抗する
魂の糧となるような体験をしっかりと人生の始めの頃に与えられたし。夏のセミの声とか、モンシロチョウとか、カマキリとか、
ざりがにとか…お金で変えない驚きとか楽しさ…お母さんの作った料理、お父さんと遊んだ思い出、いつか見た海、山、森、
笑顔、そんなことがきっと人が死ぬ前にうっとりと思い出すこの世の宝なのかもしれない…そんな風に思います。日本は今より
貧しかった時代があったけど、魂を豊かにするものが今よりあったかもしれませんね。お金じゃ、あの頃の幸せは買ってもらえ
なかった。楽しいことばかりじゃなくて、怪我もしたし、喧嘩もしたし、悔しいことも淋しいこともあったけど、〇〇ランドより、もっと
豊かな体験をくれたのが、子ども時代の遊びや暮らしでした。

 テレビやネットをみていると、とくにどの国の映画でもドラマでも、お金や物質があるということが人の幸せのベース
であるような話がほとんどになっていて、昔のような味わいのある話、「魂」がかけた作品が最近は多くなってます。役者さんも
どこもみんな「小綺麗」になってしまい、小金持ち思考が劇の中でも見えてしまい、そこが反って貧乏くさい。
小説にしてもしかり…。小説や言葉は社会の鏡、時代の反映だから、仕方ないのでしょうけど…。

 お金で豊かになればなるほど、発想自体が「貧乏くさい」というのはどういうわけでしょうね。「貧乏くさい」というのに
語弊があれば、「薄っぺらい」。観る者、読む者の魂にドスンとくるものがない。突拍子もないのに、スケールが小さい
話ばかりで、芸がないのに、「最高」とか言って騒がれる…。

 お金のために作る、お金があれば作れるという作品ばかりになっている。例えば、〇〇ランドが悪いとは言わない
し、あそこまでお金で作り込むことにはビジネスとして感心しますが、あれで体験するひとの魂が豊かになるわけで
はない…。人間ってそんなロボットみたいなもんじゃないのに、ロボット化されてるわけですね。驚きや楽しさって、
お金をかけてを買うもんじゃない。何かホント、貧相だなと感じます。

 お金によって、世の中や自分達が得たものと失ったものはなんでしょう…。お金を利用して得るものだけにしたい。
きっと、それができたとき、人生の勝利者になるのでしょう。いえいえ、健康と愛情そしておそらく、「信仰」が幸せの秘訣
かもしれません。「信仰」というのは宗教とは関係ありません。自分を超えたなにかを畏れて感謝する気持ち、謙虚に
生かされていると思って生きぬくことだとわたしは思います。宗教は人間が作ったものですが、信仰は違います。

 とにかく、この地上で人間らしく生きるには、上手くお金と付き合うことが課題のようです。あってもなくても結局、その人の
器、生き方が問われる。お金に不自由しなければ、その分、卑しさやさもしさは引っ込むでしょうが、人間力を問われるような
状況に対処することができなくなりがちです…。結局、お金に振り回されないで、お金をコントロールして生きる人、お金にただ
恵まれているというだけでは腑抜けっぽいけど、それを自由に有効に稼げて使えれば、きっとこの地上のゲームは楽しいものに
なるでしょう。(笑)。

 お金以上に自分に価値があることを信じていて、お金を過不足なく自由に操れる、これがおそらく、現代の魔術師であり
人生の達人たる資格のひとつかもしれません。逆に言えば、自分の器にあった幸せをつかむことが、人生の課題なのか
もしれない。お金を稼ぐ人が偉いわけでは決してないことは、ニュースをみていて充分にわかります。お金を崇拝する気持ち、
「もっとお金があったら…」と考える癖に気づけば、自分たちの本来の道に戻れるような気がします。

 お金はないと不幸、求めるのは不幸、それを自分のステイタスや価値と勘違いするのも不幸。

 お金だけでなく、前も後ろも右も左も上も下も内も外も、ちゃんと自分で見極めて、感情や風潮に流されずに生きていくこと
にします。失うものはなにもなく、得るものだけが前にある、そういう生き方が常にできるように、疲れやストレス、そして迷信
なんかは綺麗に始末して生きていきたいと思います。やっぱり、休暇はいいですね(お金が多少いるけど…笑)、なにより元気
が一番です。自分の仕事、自分が世の中のために役立つ何かを培いながら、頑張って稼ぎましょう!(執着しないけど、しっか
り管理して)なんだか、ピューリタンみたいになってきましたけど(笑)。







  1. 2015/09/04(金) 04:20:10|
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2015年6月2日 日本のわかれ道



 パリは晴れのち曇り雨です。
毎週日曜日の有機市場では、売っている野菜や花や魚を見ると季節の移り変わりはともかく、
季節の「ズレ」が見えます。

 先日、浮世絵コレクションの資料調べをしていて気づいたのですが、日本の浮世絵コレクションで
現在所在が明確になっているものについては、アメリカのボストン美術館が量的にも質的にも「一番」
であるらしいことがわかりました。フランスで浮世絵版画のコレクションで有名な画廊ももちろん、あります
し、ロンドンの機関でもきっちり保存しているところがあります。資料を読んだり見たりしていると、欧米のは
資料の分類も判り易く、ひとつの「公的」な研究分野として内容が徹底充実している…。情報の開示が徹底
しています。もちろん、日本では世界の何処より、浮世絵を愛する人、縁のある人が多いと思います…それ
なのに、しっかり公の財産として、自分の国のものを予算をとって投資したりして、しっかり保存したり集めたり、
研究したりしようではないか…という国としての考えが、乏しいのだなと思いました。

 良くも悪くもお金は大切だと思います。文化芸術というのは、お金がないと育たないものだというのは、
よく言われることです。日本は、世界の美術館の実は隠れた大スポンサーです。みなさんがパリに来て
大きな美術館でご覧になっているものの多くが、実は日本からの寄付で保存修復されています。日本の
入場者が「割引特待」を受けてもおかしくないほどです(笑)。それなのに、世界的に類をみない優れた
日本の浮世絵版画が、日本ではあまり手厚く扱われていない印象を受けました。アメリカやフランスの人
にそう言うと、やはり変だねと言われます。

 変な国だと思います。(笑)

 日本の心配ごと、不安ごと、その原因の大半が、こういう日本の体質から来ているように思います。
日本の友人知人で、政府に対してこぼす人も一杯居ますが、健全な反応だと思います。でも、不安が
ったり、不満を表明しているだけでは、どうしようもないところまで日本はやって来ていますよ。

 たとえば、原発の問題がなぜあるかと言えば、それは日本が戦争で負けたからです。日本人はよく、
「安全と水はただだと思っている」と外国と比較して言われますが、「平和」と引き換えに、日本は原発
の道を選んだと、ある意味言えるわけです。こういう大きなプロジェクトで利権をめぐって、懐を膨らませよう
とする人がでるのは古今東西、同じです。今、それをあげつらって、悪者を竹槍でみんなで突き上げて刺し
たら、勧善懲悪、天下太平という「時代劇の発想」ではどうにもいかない状況に日本はいます。

 日本はこれから、どういう国になりたいのか、はっきり見据えて生きていかなくてはいけないわかれ
道に来ています。今までのように、他国まかせで生きていくということから脱皮できると同時に、自立
していかなくてはいけません。ここで外交など失敗すると、「孤立」したまま、惨敗した戦争の二の舞を
踏みかねません…。

 戦争する国力があってこその外交です。この原則が一切考慮されていない国も珍しい。それも先進国で。
しかし、急に戦争する能力を持っても、経済界や他国のプレッシャーに折れて戦争しかねないので、ことは
難しい…。あくまでも、戦争をしないために戦争する国力を持つ。今までのへっぴり腰の外交では結局、巻き添え
をくらって捨てられるのが落ちです…。下手に今の段階で、「必要なら戦争できる国」にしてしまうと、それこそ、
テロの標的になるし…。タイミングと国民の理解といろいろ難しいでょうけど…。とにかく、今までとは違う日本に
ならなくては、国が危ない。いずれにしろ、変わらねばならぬのなら、良い位置について良く変わらねば。

 考えてみれば、いくら条約があるから、友好関係があるからといって、他国の人が日本を命がけで守って
くれるわけもありません。そんな常識でわかることに疑問を抱かないという、自分に被害が及ぶまでは「気が
つかなかった」、「誰も教えてくれなかった」、「嘘をつかれた」というのでは、原発の悲劇と同じ、もしくはもっと
酷い事態が起きる恐れがでてきます。

 国同士には友情はありません。国益をかけてお互いが手を結ぶという友好関係があるだけです。
日本にお金がなくなったら、世界で1パーセントにもみたないような日本文化(美術、武道、料理、マンガなど)
愛好者にカルトなファンが残るだけで、日本に公には対等な立場で手を貸すような友達といえる国はなくなる
と思います。そういう意味では、都合が悪くなったら海外に逃げればいいという人は、自分が力のない国の外
国人として生きる現実を分かっていません。日本人は身内でえばることはできても、後ろ盾がなくては大半が
外国人とは喧嘩できません。「仲良し」を求めるだけです。

 「時代劇」ではないので、味方とか敵とか感情的なものごとの見方をしないことです。正義は自分達が作るものであって、
外に期待しておわりというものではないと思います。お互いにそれぞれの国益や地理的な事情、歴史を推理しながら、取
引していかなくてはいけません。戦争やテロの脅威を前に、日本はもっとしっかりしなくてはいけない…。例えば、日本海
軍って強かった、本当に今でもきっと強い…。平和ぼけしていないで、ちゃんと考えないと、平和は誰も守ってくれません。
正義というのも、相手の利益とこっちの利益をすりあわせて、作りだしていくものだから、上手く論争できるといいけど、日
本人は和を尊びすぎて、反って問題をこじらせてしまう…。

 今の日本でみんなが感じている憂鬱や不安はすべて、歴史を読むことで解消されていくといったら、信じますか。
解消されますよ。もっと、実際に役に立つ心配の仕方ができます。

                     









まだまだありますが、ほんの一部、お勧めします。


  1. 2015/06/02(火) 18:32:43|
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2014年4月8日 マンガ暮らし 後編



 イースターの後のパリは晴れの日が続いています。
もう春というかんじで、日本では桜が咲いて後は散るのを待つばかり…などと思いながら
日々の生活を送られている方も多いのではないでしょうか。日本では桜ですが、こちらは
薔薇が美しく咲く季節がやって来たかんじです。わが家には、切り花ですが、真っ白な薔
薇がふっくらと咲き揃っています。

 花は咲けども、フランスではこれより下に底があるのかというほど、不景気感が蔓延しています。
しかし政府の景気発表はこれとは逆です。こうなると、世の中は現実と違う理屈で誰かの何かの事
情で「語られて」動かされていることがどんな人にも判ります。そういった意味でも、世の中の大きな
変わり目にいることを実感できますね。今までの嘘のつきかたではなく、違った誤魔化しかたが必要
とされている世の中なので、またひと味違うテクにニックが編み出されて来ているようです。

 日々是鍛錬ということで、今回も仕事の合間を縫って、世の中を見極める力というか蓄積のために、
マンガ暮らしをやってみました。マンガというのは読み方選び方もあるのでしょうが、なかなか凄い
作品に出くわします。マンガの世界で前回はいしかわじゅん氏と夏目房之助氏をガイドに見立てま
したが、やはり一番はこの方でしょう、結局、マンガ暮らしの後半を実行するために3冊も同じ人の本を
買ってしまいました。『BSマンガ夜話』のゲストでもお馴染みの呉智英(くれ・ともふさ)氏です。本の雑誌
として知られる『ダビンチ』のコラムでも知られた方です。マンガのことならこの人の本を読みましょうというかんじ。

 三冊も買いたくなくて、真剣にマンガ読みをしたいという方には、古いようですが古くない一冊としてお勧めです。
紹介される作品が古いということで敬遠する人もいるようですが、そういう読み方だと単なる「お客さん読み」にしか
ならない危険があります。がっつりマンガを読みたい人は、やはり必携の本でしょう。
現代マンガの全体像 (双葉文庫―POCHE FUTABA)現代マンガの全体像 (双葉文庫―POCHE FUTABA)
(1997/01/20)
呉 智英

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 あとの二冊は『ダビンチ』のコラムから。マンガとマンガ以外の本を組み合わせて紹介する形式になってます。この
二冊では、個人的にはマンガというより本のほうに興味を覚えることが多く、中村うさぎ氏を読むことになったのもこの
本がきっかけでした。ちなみにこの2冊はセットで売ってはいないけど、実質セットのようです。

マンガ狂につける薬 下学上達編 (ダ・ヴィンチブックス)マンガ狂につける薬 下学上達編 (ダ・ヴィンチブックス)
(2007/05/30)
呉 智英

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マンガ狂につける薬 二天一流篇マンガ狂につける薬 二天一流篇
(2010/12/01)
呉 智英

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 以上、紹介しただけで、マンガ暮らしについて書く必要などないのかもしれませんが、読んでいる誰かとのシンクロを
期待してマンガ暮らし後半でわたしが読んだものをご紹介しておきます。

 この本を買ってから、東京で岡崎京子さんの展示が催されているということを知りました。バブル後の不景気だのに
贅沢だった時代を生きた世代としては、あの頃の日本の空気を感じる作品でした。今となっては、あちこちで整形が世
の中に「蔓延」しているので、読み返してまたふたつの時代が平行したようなリアル感がありました。好きな作家さんで
はないけど、やっぱり時代を切り取るというか表現する天才に、改めて驚きます。
ヘルタースケルター (Feelコミックス)ヘルタースケルター (Feelコミックス)
(2003/04/08)
岡崎 京子

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 これも違うけど凄い…。この話のモデルになったと思われる大事件の教団の教祖の娘さんが手記を出したという話を
聞きました。世の中変われば変わるものだと思いました。さて、このマンガは全部で二巻ですが、まさに日本人のさま
よえる心を描いています。終わったことではなく、多分、こういう人達って凄く多いと思いますし、こういう陥りがちな人生
に潜む罠を「無事に」避けて成長した人も多いと思います。「どこかに」本物の自分を捜して彷徨ってみてもろくなことが
ないというのがよく判ります。「個」を確立するということよりロマンチックに傾きがちな日本人の大半が、西洋から来た
一見素晴らしいことに見えるけど、「個」として自分を確立したその果ての果てに出てくるような「自分捜し」「自己実現」
ごっこブームに華やかに乗せられてしまった。これは偉いこっちゃ…。禅の修行と同じことだと気づかずに、いろんなとこ
に羽ばたいたり、大枚をはたいていろんなことをしたり…。それでもどうして幸せになれないか判らないで辛くなる人が
多いと聞く…。 普通に見えるけれど実は「スペシャル」な人生から自分を確立することの面白さを忘れて、社会全体
でバブル以降、いや、貧しい時代からすでに妄想に向かって走った結果、内面で身動きとれなくなったのが今の日本
なのかなとも思ったり。怖いのは、親の世代からそういうズレはすでに出ていたみたい…だということ。

ビリーバーズ 1 (fukkan.com)ビリーバーズ 1 (fukkan.com)
(2012/05/30)
山本直樹

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 次に紹介する『レッド』と共に、これがいまだにリアル感をもっているということは…、人間的な成長や成熟と実年齢
が実はもうあんまり関係ない世の中になっている今、この超高齢化社会…というのは、なんだか怖い時代なのかも
というのが読後感として出てきてしまいました。焼け出された迷える農民のような姿…やっぱり、豊かになっても内面
では日本の問題はずっと同じだったんだろうなぁ…。変なことを言っていますが、誰かとシンクロしていたら嬉しいです。
ビリーバーズ 2ビリーバーズ 2
(2013/07/25)
山本 直樹

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 同じ作者です。こちらは性描写がほとんどありませんが、大人向けのマンガです。
レッド (山本直樹) コミック 1-8巻セット (KC DX)レッド (山本直樹) コミック 1-8巻セット (KC DX)
(2014/02/21)
山本直樹

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 もう、マンガとは言えないかんじの作品です。あまりに読後感も凄くて…。やたらに残酷な猟奇的な作り話を読むのとは
違います。やっぱり何か自分の心や記憶にある「本当のこと」を知りたい欲求を満たしてくれる感じがします。よくドラマでも
映画でも本でもマンガでも、それが本当だと思い込んでしまう人が多いそうですが、すべては作者のフィルターや表現力
という制限の中で造られた作品という「作り物」です。ただ、その「作り物」が自分(達)の心ににどこまで届くか、どこまで
「あぁ、そうだったんだと思う」とか「そうなのか!」と感じられるか、その点でリアルだと思います。センスが凄い。

 やっぱりこの作家は好きだな。大阪弁が苦手な人は嫌かもしれないけど、大阪弁だからいいんだと思う。
大阪ハムレット (1) (ACTION COMICS)大阪ハムレット (1) (ACTION COMICS)
(2006/05/12)
森下 裕美

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 何巻から読んでも大丈夫なのですが、取り敢えずはじめから。これも昔『BSマンガ夜話』で知ったマンガですが、誰にでも
子供にでも大人にでも勧められて、わざとらしさなしにみんながほのぼの笑える、考えてみれば凄いマンガです。アニメに
なったものとマンガではやはり違う。マンガを熱愛してからアニメをみたほうが両方楽しめそうです。
あたしンち  (1)あたしンち (1)
(1995/04/23)
けら えいこ

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あたしンち 20巻あたしンち 20巻
(2014/11/21)
けら えいこ

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 諦観というものを感じさせてくれる人。どの作品もちゃんと「人はいつか死ぬ」というスタンスから描かれている。
永遠の若さなどないのに、それを認めたがらない世界中の中年、老人達より、若い世代のほうが今はきちんと年を
とっていける人達なのかなとも思ったりもします。そう言えば、20代~30代の人のマンガって今回も一冊も読んでない。
ある意味、歪んだ時代を生きた世代のほうが心に響く物を作れるという気がします。今のドラマも映画も本も面白く
ないのはそのせいかもしれません。
黄色い本 (KCデラックス アフタヌーン)黄色い本 (KCデラックス アフタヌーン)
(2002/02/20)
高野 文子

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 ほかにも読んだのですが、ご紹介するのが躊躇われるので載せることができません…。それぐらい世の中の「やばい」
ところを掘り起こす力がマンガにはあるということです。いろいろ読んで、今は日本が負けた戦争についての本を文字通り
読み漁っています。やっぱり、一度壊れてから出来たのが今の日本。それを知らずに生きてきたのだとつくづく思います。

 シンクロした人いましたでしょうか。
  1. 2015/04/08(水) 18:03:59|
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2015年2月13日 マンガ暮らし 前編



 パリの冬の貴重な快晴が続いています。
明日はバレンタインということで、戸棚の奥のバランタインを取り出して、チョコレートケーキなどを作って
います。若い時には手作りプレゼントを作る友人の気持ちが全然理解できなかったのに、年をとってから
手作りチョコレートものの良さが判る自分に驚いたりしています。

 なにごとも目が肥え、舌が肥え、耳や鼻が「肥え」、心の厚みみたいなものが増してきて、簡単に言え
ばものごとを体験する感覚が年齢を経ることでに磨かれて、子供の頃や若い頃には見えないことが見えて
くるということがよくあります。

 一冊の本をみつけて読んで以来、ここ1カ月くらい、マンガを大量に取り寄せて、仕事が暇なのにかこつけては
マンガばかり読んでいます。けれどもそろそろこのオタクのような生活が嫌になって、「娑婆」に出てきたところです。
写真は「マンガお籠もり」状態から脱して、久しぶりに朝早く外出したときの写真。
やっぱり、朝の外出は気持ちがよい。ところで、その本というのが、漫画家のいしかわじゅん氏の『秘密の本棚』という
エッセイというかマンガ批評というか、結局は著者の人生についての本です。同氏のマンガや本を読んだりしたことの
ある人や、マンガに詳しい人にはとっても面白い本です。

秘密の本棚―漫画と、漫画の周辺秘密の本棚―漫画と、漫画の周辺
(2009/05)
いしかわ じゅん

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 ご存じの方も多いと思いますが、以前、NHKのBS放送で『マンガ夜話』という面白い番組がありました。
バブル崩壊後にBS放送の深夜枠で始まった個性的な番組で、不定期に放映されていたようですが、最終的には
いしかわじゅん氏とマンガ評論家の夏目房之助氏、オタク代表の岡田斗司夫氏をレギュラーメンバーとして、民俗
学者の大月隆寛氏が司会を務められた番組です。コンセプトは、「1つの漫画作品を1時間かけて徹底的に語り合う」
番組ということで、数年前まで続いていたという、実は人気番組でした。司会のアシスタントも何人も入れ替わり、
最終的にはおそらくメンバーや司会との相性等により、笹峯愛さんという女性タレントに落ち着きました。それまで
のアシスタントの変遷や笹峯さんの変化(進化)を見るのもまた、面白かったものです。加えて、岡田氏の変貌ぶりも
何か見てはいけないものを見てしまったような、危ない面白さもある番組でした。回毎に迎える多彩なゲストも、中には
登場した当時には判らなかったことが後で発覚したり、「そう言えばあの人…」と思ったりすることもあったり…そういう
意味でも、思い返してみても興味深い番組。

 何よりも、個人的には「日本人って一体なんなんだ?」と常日頃思いながら20年近く生きているせいか、この番組で
紹介された凄いマンガを今回あらためて読み直してみて、大きな収穫を得たような気がして充実した読書体験をして
います。戦後の日本、現在日本の状況がどこから来て、どこに向かっているのか、パノラマ形式で広く深く見せて貰
える気がしています。

 そんな訳で、三週間あまり、マンガ暮らしを続けてしまいました。ちょっと仕事などの休憩(?)というか、現実的な
用事を入れて、近日中に期間限定でまんが暮らしを再開するつもりでいます。エネルギーだけでなく、没頭できる環境
を整えてマンガを読みたいからです。 ところで、その『マンガ夜話』という番組のメンバーの一人の夏目氏(房之助氏)
は、夏目漱石のご長男の息子さん、つまりお孫さんだそうで、いしかわ氏と同じ世代で同じくプロのマンガ読みです。
このお二人は、知性教養、論理的な思考、適格な指摘で唸らせてくれる凄い「達人」であり、理知的でありながら「心」
を忘れない、ある意味、自分の道に誠実な人達だと思います。いいなぁ…。今は、夏目氏のマンガ評論についての本
を注文し、届くのを待っているところです。マンガ暮らしはまだ続きそうです。

 今回、いしかわ氏の本やいろんなマンガを読んでいて、いろんなことが見えてきました。例えば、日本が戦争で負けて
貧乏と喪失感の時代、復興期や高度成長期ゆえの不条理やどさくさにまみれた時代を経て、凄い勢いで世界
の成金の頂点に達したような享楽的なバブルの時代に突入した…。バブルはその後弾け、なんとも温和しく中途半端な
平和呆けの時代となった。それが突然、311という大惨事で破られた…。綺麗にならしたはずの日本の社会の表面下に
ある粗大ゴミが浮いてきて、日本では実はずっと戦後のままだったんだよ~ということがハッキリと目の前に示されて愕
然とし、非常に不安な気持ちになっている現在…。「どうしたらいいのだろう…」と、怒る人、悲しむ人、日本の将来を真剣
に考えながら生きている人が増えている現在…。パリに暮らしていても自分もその一人です。

 自分の人生であれ、世の中のことであれ、不安になったりして途方にくれると、わたしは本を読みまくります。
内容がずっしりしていれば一日一冊のペース、マンガや実用書だと数冊のペース…。とにかく、何かがみえるまで読み
まくります。今回は、マンガを軸に読んでいてますが、マンガにはこの一連の時代の流れがすべて記録されていることが
判りました。ストーリーや出来事レベルというだけでなく、日本人の心、潜在意識の流れみたいなものが記録されている。大人になって読むに値するマンガをしっかり読むと、それが見えるということが今回の発見でした。

 まず売ることを考えたり、書くことがみつかって居ない人がやたらに技術だけで書いたマンガではなく、作者の心や
魂の入った本物の作品を読まなければいけない…そのガイドがいしかわじゅん氏であり、夏目房之助氏。マンガの中
になにか時代の光みたいなものがある…そこに、日本の希望が残っているようにも思えたりしています。

 それにしても、あまりにも脈絡なく読んでます…が、全てお勧めです。まだまだ取り寄せて読んで、そのうちでよい
ものはご紹介したいと思います…結構な道楽になりそう(苦笑)。

もはや伝説的作品…です。
最初は「なにこれ?あんまり面白くないみたい…」それが段々、登場人物の心の機微みたいなものが見えてきて、
下巻に突入…。そして下巻の最後40頁くらいから怒濤のクライマックスに向かいます。いろんな事情が明らかにな
り、この話の中に飲み込まれていきます。そうなるともう、鼻水と涙の洪水となってしまいますので、家で読んで下
さい。再読すると、最初に読んだときに見えなかったものが見えてきて、自分の作中人物に対する印象が変わって
いるのに気がつきます。泣けるからいい作品と言うのでは決してありませんが、これを無感動で読める人が
いるとすれば、生きるということを味わう点でちょっと寂しいかもしれません。
自虐の詩 上巻自虐の詩 上巻
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自虐の詩 下巻自虐の詩 下巻
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業田 良家

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これもお気に入り…勢いで全巻揃えてしまうほど。
この毒というか、普通の人達の底意地の悪さと罪深い罪のなさが素晴らしく面白い~。一冊に何度か声をあげて笑えます。
ここだけのふたり! 1 (アクションコミックス)ここだけのふたり! 1 (アクションコミックス)
(2008/12/27)
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 鎌倉に小さいときの思い出があるので懐かしさがあります。一種ホームドラマ的な安定感に癒やしを感じ、
実はミステリーや伝奇的な魅力もある。なんだかしらないけど、絵柄になれると、この人のマンガは心が落ち着きます。
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これも凄い…。上品下品を超えた、悲惨だけど素敵な話です。『自虐の詩』と同じように、一種の神がかった作品。
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 格好いい、外国人が惚れる日本的なエッセンスが詰まった作品。
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 これも凄くよい…まだ終わってないけど。
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 これも実は隠れた日常に潜んでいる狂気につながるトーンが根底にあって、読めば読むほど、実は怖いというか
意外な作品だということが判ってくるのが面白い。
全巻揃えた物かどうか迷っていますが、20巻くらいまではいけそう。
ぼのぼの 1 (バンブー・コミックス)ぼのぼの 1 (バンブー・コミックス)
(1987/03)
いがらし みきお

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 アニメ系の絵が好きでないので敬遠しましたが、実は現代の日本社会の病理…といったら大袈裟ですが、欠けている
ものを一見、ほのぼのとした物語として描いています。結構、現在の日本の心にある黒い穴をみせてくれる作品として
評価しています。15年前に日本からこちらに移った頃、こんな明るい空虚さは日常になかったように記憶しています。
日本ってこんなに今、空っぽなんんだろうか…?
よつばと! コミック 1-12巻セット (電撃コミックス)よつばと! コミック 1-12巻セット (電撃コミックス)
(2013/03/09)
あずま きよひこ

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  1. 2015/02/13(金) 19:37:26|
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