
世の中が本当に以前に比べるともの凄い勢いで変わってきているという
のは、日常の中のふとした非日常に出くわす時、より一層、強く感じる
ものです。
「ロンドン橋落ちた、落ちた〜」の歌でおなじみのロンドン橋をわたろ
うとすると、どこからか教会の鐘が聞こえてきました。イギリスに来
るたびに、教会の鐘が「まぁ、なんて華やか!」と思います。
ちなみに、フランスのサン・マロの鐘の音がフランスでは一番、印象
に残っている音ですが、考えてみれば、あれは場所を考えても、そう
いった些細なところで、イギリスと混じっている部分が思っているよ
り多くあるんでしょう。何度も立ち止まって空を仰いでしまうほど、
凄い、ゴージャスな音色でした。
しかし、どこでどんな教会の鐘を聞いても、「あぁ、そういえば、
ききたいな」と思うのが、文字通り、リストの「ラ・カンパネッラ」。
15年ちょっと前、ミキちゃんという友人がいました。父親の意向で
ごくごく幼い頃から英語とピアノの英才教育をはじめていたという
彼女。見た目は派手で豪快、そしてとても端正な字を書く、心の綺
麗な、そして私と同じ元気な人でした。2人でいると相手の言っている
ことを聞きながら、同時に発声するというまるで、はたからみるとわ
めきたているような有様で、「会話」していたのを懐かしく思い出し
ます。本人達はそのスピード感をも同時に楽しんでいたのです。別れ
際はスカッシュを45分ぶっつづけでしたような感じです。それも息
を上げずに・・・。まるで手をつないで雲の中を滑っているような
気分。
まるで、フレディ・マーキュリーがのびのびと果てしないように声を
伸ばして歌い上げるような、そんな感覚を体験できました。(笑)
私は、いつどこでこの「パガニーニ大練習曲・第三番」とやらにこんな
に傾倒したのかは覚えていないのですが、この曲を聴くと、稲妻に打
たれたように動けなくなってしまうことがあります。
その話をすると、そのミキちゃんが「リストならこれが最高」といっ
てプレゼントしてくれたのがアンドレ・ワッツのカセットでした。
彼はクラシック・ファンには同じみのアメリカのピアニスト。ただ、
生まれは旧西ドイツのニュルンベルク。16歳のときにバーンスタイン
から、あの天才異端児グレン・グールドの代役に指名され、ニュー
ヨーク・フィルで演奏し、センセーショナルな存在となったそうです。
ちなみに、フランスではアンドレ・ワッツのCDはあまりありませ
ん。かえって、このピアニストは日本でのほうが有名かもしれません。
全身全霊をこめて鍵盤をたたく、繊細で悲しいまでの「気迫」が弾力
のある骨のような質感で迫ってくるのです。そして、圧巻は、まるで
木の床に糸の切れた真珠のネックレスがパラパラと、落ちて、弾んで、
落ちて、パラパラパラパラ・・・と転がるようなそんなかんじなので
す・・・。
美しい・・・詳しい人達の助けを借りて他の人の演奏をきいてみても、やはり私に
とってはこの曲はワッツが一番。
一方、ミキちゃんは手が小さかったので、手術をして広げても追
いつかず、ピアニストへの夢を断念し、ニューヨークでトレーダー
になるといって旅立っていった・・・今頃はどうしているのでしょ
うか?きっとニューヨークで、おそらくは芸術関係で元気にやって
いるような気がします。彼女はアーチストでしたからね。
このワッツの「ラ・カンパネッラ」をきくと泣いてしまう。いまだに。
このブログを書きながら聴いていても、もう感極まって動けなくなって
しまうことがあります・・・ちょっと自分でも制御できない。
なんなんでしょうね、この強い共鳴は・・・。
ワンパターンで自分でも情けないほど、魂が揺さぶられる。
イギリス人のあるホメオパシーの先生、彼はエイズの人を救うために
それこそ献身的な活動をされている方ですが、仕事でこの先生とご一
緒させていただくことがありました。
この方はエンジニアとして偉大な業績を残した方でありながら、おそ
らく天命ともいえる縁あわせで、このお仕事に就かれた方です。
この方にこういう感覚についてお話をしたことがあります。
彼は「何なんでしょうね?」という私の質問に、暖かい笑顔とウインク
で答えてくれました。
人差し指で上をさすと、暖かいまなざしで、何度もうなづきます。
そういうとき、私達は
「天」と繋がっている
んだろうということで意見が一致しました。(笑)
それにしても、ミキちゃん元気かなぁ?
と思うと同時に、もう15年以上のときがあれから経ったのだなぁ、と
今はデッキさえ殆ど使わなくなってしまった・・・・ある種貴重な
カセットをみると、感慨深いものがあります。
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